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ヒラリー・ハーンin横浜

 昨日(3月16日)、ヒラリー・ハーンを観るために、横浜みなとみらいホールへ初めて行ってきた。正確にいえば、「ジャナンドレア・ノセダ指揮/BBCフィルハーモニック管弦楽団」によるコンサートなのだが、客の大半はハーンをお目当てにしていたものと予想される。17歳でCDデビューした頃のハーンは「天才美少女」と言われたものだが、現在はすでに押しも押されぬ世界のトップソリスト。本当の意味で最高の演奏を聴かしてくれるのはこれからだろうが、そうした期待も含めて、「今、世界で最も旬なヴァイオリニスト」ではないかと思う。
 ↓ハーンのアーティストサイトはこちら。
http://www.universal-music.co.jp/classics/artist/hilary_hahn/index.html

 さて、この日のプログラムは……。
 グリンカ:「ルスランとリュドミラ」序曲
 シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
     ――休憩――
 ストラヴィンスキー:ディヴェルティメント
 チャイコフスキー:幻想的序曲「ロメオとジュリエット」

 で、ハーンが登場するのは、シベリウスのヴァイオリン協奏曲のみとなる。

 座席の関係上、ハーンが指揮者ノセダの死角に入ってしまい(前から3列目だが、ステージに向かって右端の位置=C3列36番)、その表情とアクションがちらちらとしか見られなかったのは残念きわまりなかったけれども、演奏そのものはとにかく素晴らしかった。この曲については、最近出たばかりのCDで聴き込んでいたのだが、CDとはまた趣きが違うソフトで美しい音色によって剛と柔を巧みに弾き分ける演奏は、この曲にぴったりで、「凄演」と評しても言い過ぎではなかったはずだ。

1r0016061_2  また、嬉しかったのは、この曲が終わったあと、ハーンが「バッハのラルゴです」という“日本語”を口にして(←「お前は、ミック・ジャガーか!?」と突っ込みたくなるほど、キュートな日本語だった)、無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番第3曲のラルゴをアンコールとしてソロ演奏してくれたこと。
 個人的にバッハ好きなので、選曲にも感動したが、何より素晴らしかったのは、“ノセダさん”がいなくなってくれたことだった! 協奏曲にくらべれば、落ち着いた演奏ぶりだったが、何の障害もなくハーンの姿を見ながらこの名曲を聴けたのだから幸せだった。一緒に行った知人にしても、休憩時には「あれほどマエストロの存在が呪わしかったことはない」「いなくなったときの幸せはなかった」と言っていたくらいなので、その感動は大きかったのである。
 そして、もうひとつの感動は、休憩時間と終演後の2度、ロビーでハーンのサイン会が開かれたことだ。限られた時間の中で、長蛇の列が並んでいたので、握手を求めるのも躊躇され、実際にそうはしなかったが、CDにサインをもらって「サンキュー」と言うと、にこりと笑ってくれたその表情からは、性格も最高なのだろうな、と窺われたものだった。

 さて、ノセダとBBCフィルはどうだったかといえば、馴染みのない曲が多かったため、評価がしづらい部分もなくはなかった。
 実際に、最初の「ルスランとリュドミラ」序曲を聴いていたうちは、特別な可もなく不可もないオケかな、と思っていたが……、そんな評価が大きく変わったのは、最後の曲、幻想的序曲「ロメオとジュリエット」を聴いたときだった(実際はアンコールのグリーグ「過ぎにし春」がラストの曲)。
 この曲については、この日の予習のため、カラヤン指揮・ベルリンフィル演奏のCDを聴き込んでいたが、「ナマの分の優位さ」を差し引いても、カラヤンに見劣りする演奏ではなかったと思う。というよりもむしろ、個人的にはノセダとBBCフィルに軍配を上げたくなるほどだったのだ。
 クラシックを聴いていると、「落ちる瞬間」というものがある。最初に聴いたときには、ほとんど感動がなかったのに、何度か聴いているうち、あるいは何週間とか何カ月とかあけて久しぶりに聴いたときに、すっと落ちて、「どうしてこの曲やこの演奏をこれまですごいと思わなかったのだろう!?」と不思議になることがあるものなのだ。そしてこの幻想的序曲「ロメオとジュリエット」については(一般によく知られる「ロメオとジュリエット」はプロコフィエフの作曲)、最初にカラヤンのCDで聴いたとき、パッとしない曲という印象を持ち、聴き返しているうちに、少しずつ落ちかけていたのだが、このコンサートによって完全に落ちた。
 今回のツアーでは、公演によっては、「ベト7」やチャイコフスキーの「悲愴」が演奏されているので、そちらのプログラムのほうが良かったな、という羨ましさを持っていたが、これはこれで良かったと思う。ハーンのシベリウスが抜けて良かったとはいっても、全体としてとても満足のできるコンサートだったのだ。

20080316202746  なお、帰りは横浜中華街のニーハオという店で紹興酒三昧! この店は知人に教えてもらっていたところだが(http://r.tabelog.com/kanagawa/rstdtl/14001167/)、“いかにも路地裏な店”といった風情で、小汚い感じがしながらも、何を食べてもうまかった。「こんな汚い店によく……」というほど(失礼)、壁一面に有名人のサインが貼られていたが、そのなかにはなんと、小澤征爾の写真もあったのだ。だったら、「ハーンも来たりして」と期待しながら、紹興酒を飲んでいたのだが……、当然、彼女は来なかった。

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コメント

クラシックにも造詣が深くていらっしゃるのですね。
私は、あまりクラシックに馴染みがないのですが、のだめ等をきっかけに、少し耳にする機会も増えました。
ヒラリー・ハーン、綺麗な方ですね。

投稿: ぶーママ | 2008年3月17日 (月) 22時59分

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