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食わず嫌いとカラヤン

 今年は「カラヤン生誕100年記念」だそうで、クラシック界はかなり賑やかだ。カラヤンといえば、商業主義のナルシスト……といったイメージもあるため、つい、食わず嫌いしているクラシックファンもいるのだろうし、僕自身も多少はその傾向は持っていた。何枚かの作品は聴いていたのだけれども、心のどこかで「その曲の個性よりもカラヤン自身の個性を大切にしている演奏」といった見方をしている部分があったのだ。

Planet  だが、なんといっても、やっぱりカラヤン! 最近、テレビの特集が組まれることも多く、カラヤンの音や映像に触れる機会は増えているが、誰より多くの録音を残したカラヤンの作品には大きなハズレがないだけでなく、どの作品においても細部まで繊細すぎるほどに気を使って、曲を構成しているのだということが改めて感じられてきた。カラヤンは「世の中には雑な演奏を残す指揮者が多すぎる」というようなことを口にして、精力的に録音活動をこなしていたそうだが、そうした意味でも、カラヤンの録音はそれぞれに、後世に残されていくべき「20世紀最上のスタンダード」のひとつといえるのだろう。
 これまで、それほど多くのカラヤン作品を聴いていなかったなかでは、まったく月並みなところで、ホルストの『組曲≪惑星≫』やベートーヴェンの『交響曲第7番』などが気に入っていた。≪惑星≫は、ジュピターでお馴染みの作品だが、これをクラシック界の名曲に押し上げたのもカラヤンであり、ウィーン・フィル盤、ベルリン・フィル盤の2枚がともに歴史的名盤にされている(僕が愛聴しているのは、惑星ブームのきっかけとなったウィーン・フィル/61年録音盤のほう)。また、≪ベト7≫についてもいろんな指揮者が名盤を残しているが、カラヤン&ベルリン・フィルの76年録音盤などは、第四楽章の疾走感が素晴らしく、何度聴いても飽きることがない。

Wagner  圧巻はワーグナーの『管弦楽曲集』! これぞカラヤン、これぞベルリン・フィルといった感じで(74年録音)、世界的なメガヒットCD『アダージョ・カラヤン』(←名曲集のようなオムニバスアルバム)以上にアダージョで濃厚な音の響きを聴かせてくれる。

 また、最近、テレビでチャイコフスキー交響曲第6番≪悲愴≫の演奏も見たが(74年、ベルリン・フィルの演奏)、≪悲愴≫といえば7枚のレコード&CDを残している曲だけにさすがに凄かった。陰鬱さとゴージャスさが同居している曲なので、カラヤンとベストマッチしているのだろう。とくに第3楽章の迫力などは他にはないもので、「さすがベルリン・フィル……」と、思わずほくそ笑んでしまったくらいだ。ベルリン・フィルといえば、世界最上級あるいは最高のオーケストラというよりも「世界最強のオケ」といったほうがピッタリくる気がするが、こうした演奏を聴けば、そんな印象はさらに強くなる。≪悲愴≫のCDでは、これまで84年ウィーン・フィル盤を聴いていて、絶品の演奏と満足していたが、ベルリン・フィル盤のほうが「This is Karajan」といったイメージには近いのかもしれない。
……これからも食わず嫌いはしないで、もう少しカラヤンを聴いていきたい。

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